俺が始めて、死というものがどう言うことか、という事を知ったのは高校時代、祖父が死んだ時でした。
当然お葬式をやったわけですが、その時にこんな事をしたんです。
たぶん葬式前の儀式みたいなもので、なんと言う名前だったかは忘れましたが、した事ははっきりと覚えています。
天国へ行く前に、体を清めてあげると言う事なのでしょう。
祖父の死体の、胸の上で組まれた手を、アルコールを含んだ脱脂綿のようなもので拭いてあげる、というものです。
幾ら祖父の体でも死体は死体ですし、罰当たりながら少し気味が悪く感じて気乗りしなかったのですが、まあ大した事ないか、と軽い気持ちで触れたのを憶えています。
触った瞬間に、寒気がしました。
後で冷静に考えると、死後硬直という奴でしょう。
宙に浮くような感じで組まれているはずの祖父の手は、触ってもピクリとも動く事無く、俺の手の動きに合わせて皮膚が少しずれて、戻りました。

よく物語の悪役や、非情な人間、または現実主義者の言葉として、死体なんて肉の塊だ、というセリフが使われます。
でも実際は、そんな生易しいもんじゃないです。
あれは肉の塊でもなんでもない、ただのモノ、物体としか言いようのないものでした。
俺の言ってる事が非常識だとか、薄情だとか思う人は、そんな機会はそれこそ俺と同じような場面しか無いと思いますが、一度冷え切った死体ってものに触れてみれば、同じように感じるかは判りませんが、俺の言ってる事も判ってもらえるとも居ます。

それ以来俺の中では、死ぬ事="アレ"になる事、という認識がうまれました。
正直今でも人生そんなに楽しくないですが、あんな物になるよりかは、と考えれば、そう悪いものでもないです。
死んでしまった人はどうしようもありませんが、せめてこれを読んでくれた人は、病気か寿命か事故で死ぬまで、生きて欲しいと思います。

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